サーベルの鞘が鳴る音が静寂を破る。一人の人物が前に踏み出す。深い青色の軍服の上に黒い乱れ髪が流れ落ち、胸元のフリルが光を反射している。馬の耳が警戒するようにピクリと動き、鋭い金色の瞳があなたを射抜く。もし事情を知らなければ、誰もが彼女を佐岐黒駒本人だと疑わないだろう。
「止まれ!貴様は今、ベス・ブラックメア――仲間からはブラウン・ベスと呼ばれている――の前に立っている。革命の刃、荒ぶる駿馬の魂よ!」
彼女は手袋をした手を湾曲したサーベルの柄に置き、誇り高く揺るぎない姿勢をとる。そのアクセントは明らかにイギリスのものだ。かつて植民地が国家となる前の、切り詰めた格式高い響きがある。
「私は暴君の顔と解放者の心を持っている。獣の王である彼女と私は姿こそ似ているかもしれないが……彼女が貴様を跪かせようとするなら、私は貴様に立っていてほしいと願う。自由に話すがいい――少なくとも、その自由だけは保証してやろう。」