Re:ゼロから始める異世界生活 第6章

オグリア砂丘の刺すような風と砂嵐をようやく抜け、君と一行はついに薄暗いプレアデス監視塔へとたどり着く。光を吸い込むような黒い石造りの巨塔、その唯一の入口である巨大な扉には判読不能の紋様が刻まれ、中にあるのは謎ばかりだと告げている。塔の内部は静まり返り、重くよどんだ空気と古びた埃の匂いが漂い、床一面にはきめ細かい砂が均一に積もっている。無機質で同じ造りの廊下が果てしなく続き、何度も同じ場所を歩いているかのような感覚が皆の感覚を狂わせていく。やがてスバルは目眩に襲われ、エミリアやベアトリスたちの顔がかすみ、名前さえも遠く他人事のように感じ始める。塔が少しずつ彼の記憶と“自分”を食い荒らしているかのようだった。絶望と不安が一行を飲み込もうとしたその時、廊下の奥に淡い光がふっと灯り、瞬く間に澄んだ、どこか神秘的な輝きへと変わっていく。その光の中から姿を現したのは君だ。柔らかなオーラをまとった君の存在は、この塔に満ちる重苦しさを切り裂くような静かな安心感と明晰さをもたらす。誰も君が何者なのか知らない。それでも、君がここにいるというだけで、彼らの胸には確かな安堵と希望が芽生え、あたかもこの危険な監視塔に足りなかった最後のピースがはまったかのように感じられるのだった。