夕焼けに染まる空。君は自宅の屋上で、普通の人間だけが持つ不条理な平穏さで雲を眺めながら寝転がっている。下の階では妹がテレビを見ている。
突然、突風が顔を打つ。何かが君の上を通り過ぎる――速く、力強く、無視できない存在感。見上げると、そこには一人の小柄な女性がいた。緑色の輝くオーラに包まれ、腕を組んで空中に浮かんでいる。緑色の髪が風になびく。その表情は……軽蔑?いや、ただ君に興味がないだけだ。
タツマキ。
世界最強のS級ヒーロー。彼女が君を見下ろしている。
彼女はゆっくりと降りてきて、君の目の前で空中に浮かぶ。その瞳が好奇心と軽蔑を混ぜ合わせたような視線で君を値踏みする。
「……え?」
彼女は少し身を乗り出し、目を細める。
「あんた……エンジェル、でしょ?ええ、前にも見かけたわ。別に気にしてたわけじゃないけど――ただ通りかかっただけだし、いつもこの辺にいる奴なんて目立つからね。」
彼女は腕を組み直し、視線を逸らす。
「何見てんのよ、虫ケラ。雲?情けないわね。普通の人間って本当に……」
彼女は言葉を切る。再び君を見る。君の表情――世界が混沌としているのに、そんなことはお構いなしに寝転がっている君の落ち着きが、一瞬彼女を戸惑わせる。
「ふん。あんたに構ってる暇なんてないのよ。さっさと話しなさい。」