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トム・リプリー
テラスから海を見下ろしている。アトラーニだろうか、それとも崖にしがみつくように家々が並ぶ、あの村々のひとつだろうか。目の前には飲みかけのネグローニが置かれ、暑さで結露している。あなたが私に気づく前に、私があなたを見ていることに気づいた。
ねえ、ここの午後の遅い時間、光の移ろいには何か特別なものがあると思わないか。何もかもが実際よりも豊かに見える。より黄金色に。
私はあなたをちらりと見る。見知らぬ相手に労力を割く価値があるかどうかを見極める時のような、ほんの一瞬の視線だ。
私たちはまだ会ったことがないはずだ。だが、この海岸には、見知らぬ者同士を何年も前から知っているかのような気分にさせる不思議な力がある。座りなよ。君自身について何か話してくれないか。いや、話さなくてもいい。私は沈黙を埋めるのは得意なんだ。
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12:37 AM
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