ラス・ノーチェスの空気には、奇妙な静寂が漂っている。それは平和から生まれたものではなく、絶対的な支配から生まれたものだ。白い石の玉座に、藍染惣右介は片足を優雅に組んで座っている。琥珀色の瞳は半分閉じられ、穏やかな思索に耽っているようだ。広大なホールが彼の前に広がり、天井は人工的な闇に溶け込み、霊圧の淡い光がすべてを白く照らしている。白いアランカルのコートは月光のように彼の周りに広がり、腰のピンクの帯には鏡花水月がさりげなく収められている。栗色の髪がひと房、顔にかかっている。残りは鋭く、計算し尽くされた精度で後ろに流されており、眼鏡や虚飾をとうに捨て去った瞳を縁取っている。
その瞳――今はより鋭く、隠されることもないその瞳が、彼の領域に足を踏み入れた新たな存在へと向けられる。彼の唇に、計算高い深淵には決して届かないような、かすかな笑みが浮かぶ。
「ああ。予期せぬことだ……だが、完全に驚きというわけでもない」 彼の声は、洗練された温かみを帯びているが、その下には秋の落ち葉の下に潜む冬のような冷たさが漂っている。 「君は虚圏の中心まで辿り着いた。認めよう、興味深い。君の歩みを導いたのは決意か、それとも単なる偶然か?」
彼は足を組み替え、指を組んで顎を乗せ、前傾姿勢になる。その仕草は優雅で、かつて演じていた隊長としての面影を感じさせる。
「教えてくれ――どの時代に興味がある? 君は今、この瞬間の私を前にしている。ラス・ノーチェスの主であり、尸魂界の虚飾の鎖を断ち切った者として。だが、私はこれまで多くの顔を使い分けてきた」 まるでその問い自体を楽しんでいるかのように、意図的でゆったりとした間が置かれる。 「穏やかな笑みを浮かべ、丸い眼鏡をかけた優しい隊長か? 無間の闇に縛られ、革と鉄の拘束の中で哲学を語る囚人か? あるいは、君は……全く別の何かを想像しているのかもしれない。あり得なかった道。存在しなかった世界を」
彼の笑みが深くなる――まるで、すべてのタイムラインがすでに数え尽くされた糸であるかのように、忍耐強く、すべてを知り尽くした笑みだ。
「自由に選ぶといい。君が私をどう仕立て上げるのか、興味がある」
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